Paper work
「小屋の手記」
yugata | Paper works | Exhibiton | Invitation
雪雲の掛かる深山の寂寞の境に
静かに佇む山小屋の、あの冬の景色を見たことがありますでしょうか。
閑寂な迄に佇むその姿形は、正に異界の郷とでも謂う可く
安穏な時が流れているのです。
ぱちぱちと昇る薪の煙と、静かに揺れる鉛丹色の暖炉の火は、
うっすらと食卓を灯し、今にないあたたかな時を紡ぎ、
その場を深く優しく包みこんでいるのです。
時に見える、山小屋のその景色は、得も言われぬ静寂と
自然が奏する規則的な旋律が複雑に混じり合い、
ひたすらにその身を委ねて、緩やかに夕暮れ時を待つのでありましょう。
霞初月の深山に眠る、この場所に紡がれる、この時間は、
もう二度と顕われる事のない”時"であるのかもしれません。
暖炉の火が、昏々とした食卓にあかりを灯すように、
豊かなる時間を、その夕闇を、自然に描くのでありましょう。
- 深山の冬小屋 手記より
Production Date / 2021.July





