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January 28, 2022

「 現 下

“自分” と云う人間程、解っているようで判っていないものは無いのかもしれない

「これはしてはいけない」とか「こうするべきだ」とか、戒律的に自己を抑えるつける感情ほど、行動は背反するものと思う(僕に限った話なのかもしれないが…)

悪いと考えている事、やってはいけないと思うような事でも、どこかで「そうでは無い感情の自分」が悪魔的に囁いては、破滅的な路へと引き摺り込んで、それが然も正論であるかの様に思考の書き換えを試みる。そんな自分自身の姿に、後悔と懴悔を繰り返しながらも、幾度となく学習しない自分に都度辟易としては、同じ轍は踏まぬと決意を誓うも、いつでも脆く跪く

昨年は、東京から地元である愛知県に戻ってきて、実家との距離が近くなったことで、家族と会う機会が増え、すっかり頼り切ってしまっている面が情けないことに多々あり、助けられて、なんとか今を生きているのだと、改めて感じさせられる一年でもありましたし、これから自分たちがどう生きていけばいいのか、真剣に考えさせられる一年でもありました

僕の原点は、八王子でアトリエを構えていた、あの時のことが全ての起点となっているのは間違いないのですが、今、あの時と同じ感覚で、同じことをできるかと言えば、決してそうではないだろうと感じていて、今の自分の立ち位置や心情もそうですけど、物理的にも古物をベースとした活動は、これからはかなり厳しくなるであろうと感じています

昨年、webをリオープンしてから、古物の仕入れを再開したのですが、これまで休んできたというブランクもありますけど、仕入れの苦戦は想像以上で、一昨年にやってきた大きな時代の変化に対して努力をしてこなかった今の僕には、これまでしてきたような古物との携わり方は到底無理であろうと痛感しています

古物の活動をお休みしている間、デザインのお仕事を中心に携わらせて頂いてきましたが、とても上手くやれているとは言い難い状況で、納期の大幅な遅れ、酷い時にはお断りさせて頂いたりなど…、本当に期待してお声掛けくださった方々へ、裏切り、ご迷惑をおかけしてしまっているような状況が連鎖的に続いて、心が押しつぶされそうな日々が続いていました

全て自分の問題ではあるのですが、ただ ”デザインをするだけ” という仕事の仕方は、個人的に色が出し辛くて、自分で”手を加えて”成果物を仕上げるという過程を踏襲してきたこともあり、段々と作業の濃度と、それにかかる時間、コストが見合わなくなってきて、八方塞がりの状態が続いていました

 

もっとシンプルに考えられる性分だったら良かったのですが、どうも色々なことを煩雑に考えてしまう性格である上に、一つのことが行き詰まってしまうと、そこで立ち止まってしまうタチなもので、仕事に対する熱意や関心よりも、良い物を作れるようにならなくては、というプレッシャーが、仕事が手につかない時ほど、強いストレスとして感じるようになってしまい、段々と仕事と向き合うことが億劫になっていきました。移住を機に、身の回りのことや、これからのことを整理していくべきだったのですが、目の前のことで手一杯になってしまって、真剣に考えなくてはならないというフェーズに突入してしまったと感じはじめた時には、時既に遅しというか、臨界点ギリギリなのだろうと、相変わらず計画性がないな…と、そう痛感させられる日々が続いています

 

制作に対する心境や状況を好転させるために、仕事場の整理や、体力づくりなど、思い当たることはいくつか試してみましたが、殆ど改善することはなくって、どちらかと言うと気持ちの問題であるのだと改めて気が付き、今の状況や現状を顧みて、色々考え抜いた結果、一度、どこかでリセットするラインを定めるべきかなと、考えるに至りました。今のままズルズル進むのは、自分としても限界を迎えているように感じていますし、家族や僕を信頼して仕事をお願いしてくださってる周りの方にも大きな迷惑をかけてしまうと思い、まずは今年一年、作家としての活動に専念して、その成果を持って、今後の活動の方針を見出していければと思っています

今まで直接お仕事のご相談をいただいた方にはお伝えさせて頂きましたが、改めて、デザインのお仕事は今ご依頼いただいている分をしっかり形にさせて頂いて、以降は作品制作にのみ、打ち込んでいきたいと考えています。今年一年、その成果を見て、来年以降、このスタイルのまま続けていくか、一度リセットして、細々と活動を続けていくか、活動の指針を考えていければなと思っております。僕がつくっているものの、ほとんどは ”物” でありますけど、表現したいのは空気感や時間のようなものだと "shimizukoki" として活動を始めた6年前から、その考えは基本的に変わっていないと思っています

 

古い紙物の憧憬を目指して制作してきた紙作品も、これまで設えてきた空間も、これから制作したいと考えている古物を使ったオブジェも、今の僕のwebサイトも、表現できるツール、アプローチが増えたと言うこと以外、見つめている景色は、これまでずっと変わっていないのだろうと信じています

本音は、これまでと同じようにアンティークと両軸でやっていきたかったのですが、どうしても昔と同じような物量でこの先扱っていけるのかは正直自信がなく…、今年の秋頃に展示会が控えてますので、そこに向けて、本当にいいなと思えるものだけを、少しずつ買い入れながらwebにも載せていけたらいいなあと考えております。まずは一つひとつ、形にしていきながら、今やれること、やってみたいこと、心に思うことに、正面から向き合ってみたいと思います

ここまで随分長くなってしまいましたが、最後までお読み頂き本当にありがとうございます。正直この先、どうなっていくかは僕にもわかりませんが、応援して頂けたら本当に嬉しいです

少し春の気配を感じるここ最近ではありましたけど、反面、世の中はまた不穏な空気が立ち込めておりますが、皆様もどうぞお気をつけください

 

それでは、また

2022年1月28日

清水 昂喜 

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