残 秋


r e m a i n s o f a u t u m n .

今は遠く、アトリエから1時間半ほど徒歩と電車で掛かる場所に暮らしている。

随分と遠い場所に住んでいるな、と思うけれども、

東京は広いから仕方がない。

それに、アトリエもそこそこ辺鄙な場所であるから仕方がない。

同じ電鉄の町であるのに、駅舎を出ると全く景色が違うのも、また面白いと思うから、

二つの街に住むのも案外悪いものではない、と思うのである。

いつもアトリエへと向かう度に、降りる駅は丘の上にある静かな住宅街で、

それはまた、立派な邸宅がずらっと並んでいるものだから、

この旅情的な景観が、僕としては一日のうちの一つの楽しみでもあり、

そして始まりでもあり、世情から離れすぎないでいられる結節点であったりもする。

何時もの様に、今日も同じ駅で下野し、

静かな冬空が広がるだけの、邸宅の折を抜け切ると、丘の天辺に差し掛かる。

そうすると緑豊かな公園が目の前に広がっていて、

生い茂る木々や、風の音や土色が、今の季節を如実に呈してくれてる様な気がするのです。

今のアトリエも、自然豊かな場所かと言われると、決してそうでは無いと言える立地で、

勤め人をしていた頃は、

今とは違う沿線を使い、アトリエから平地にずらっと並ぶ住宅街を抜けて、

都会の間を、ただ電車で行き来するだけの生活が続いていたので、

時節は勿論、時間さえも忘れていってしまうかの様に、

遠く孤島に漂流したかの様な、機械的な孤独さが在りました。

歳を重ねたせいか季節には敏感になってきている様な気がしていて、

計画された景観かもしれないけれども、

それでも心打たれることは沢山あって、

今日もこの景色を眺めながら、丘を下れることは、

細やかながら幸せなことであるなぁ、とつくづく思うのです。

今年は、暖かいからか、秋が長かった様に思います。

まだ、その道中には木枯らしの跡、

落ち葉が絨毯の様に敷き詰められているのですが、

いよいよなのか、落ち葉掻きが始められていました。

少し寂しいところもあるけれども、

今のアトリエでは、秋はもう二度と過ごす事ができなかったが故、

何とも得をした様な気分であります。

写真は二日前の夕刻に捉えたもの。

もうお昼ではありますが、

今日も一日好い日で有ります様に。

2019.01.16 12:22:02


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